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五十肩は「放置すれば治る」は誤解?2026年最新エビデンスが明かす根本原因と最新治療

「いつか治るだろう」と放っておいた肩の痛み。数ヶ月、あるいは1年以上経っても改善しないどころか、夜も眠れないほどの激痛に悩まされてはいませんか?

かつて五十肩(凍結肩・肩関節周囲炎)は「老化現象の一つで、時間が解決するもの」と考えられてきました。しかし、2025年現在の最新医学において、その常識は大きく覆されています。

本記事では、最新の学術的知見に基づき、五十肩の正体が単なる肩の不調ではなく、**全身の代謝や免疫が関わる「全身性疾患」**であるという事実と、早期回復のための最新治療プロトコルについて詳しく解説します。


最新の医学コンセンサスでは、五十肩は単なる肩の局所疾患ではなく、**「全身の代謝・ホルモン・免疫の乱れが関与する全身性免疫代謝疾患(Systemic Immunometabolic Disorder)」**として再定義されています 。

なぜ「肩」に症状が出るのか

私たちの関節包(肩を包む袋)の中では、炎症を引き起こす物質(IL-1β, TNF-αなど)が暴走し、滑膜の炎症と血管新生が起こります 。これが進行すると、組織が硬くなる「線維化」が起こり、肩が動かなくなります 。

糖尿病や生活習慣との深い関係

驚くべきことに、糖尿病患者が五十肩を発症する確率は、そうでない人の約3.69倍にものぼります

  • 高血糖: 終末糖化産物(AGEs)が関節に蓄積し、組織を硬くさせます 。
  • ホルモン: 閉経前後のエストロゲン低下や、甲状腺機能の異常も、組織の硬化を招く直接的な要因となります 。

つまり、肩だけを診るのではなく、血糖値やホルモンバランスといった「全身の状態」を整えることが、根本的な解決への近道なのです 。


2. 「放置すれば2年で治る」というドグマの否定

多くの患者様が「放っておけばそのうち治る」と説明を受けてきました。しかし、長期の追跡調査では、発症から4年経過しても41%の人に何らかの症状が残存していたという衝撃的なデータが出ています 。

「自然治癒」を待つリスク

無治療での完全回復を裏付けるエビデンスは不十分であると結論づけられています 。放置することで関節包が不可逆的な(元に戻らない)硬化を起こすと、リハビリテーションに多大な時間を要するだけでなく、生涯にわたる可動域制限を残すリスクがあります。

炎症と線維化のタイムリミット

病態は「滑膜炎(激しい痛み)」から「線維化(肩が固まる)」へと進行します 。組織が完全に固まってしまう前に、適切な医療介入を行うことが極めて重要です 。


現在の治療パラダイムは、**「自然に治るのを待つ」から「積極的に鎮痛し、早期に動かす」**へと移行しています 。

短期的な改善に最も有効な「関節内注射(IAI)」

発症後1年以内の症例において、ステロイドの関節内注射は理学療法単独よりも、短期間(4〜6週間)で有意に優れた治療成績を収めることが証明されています 。まずは注射で痛みを劇的に抑え、リハビリができる「Therapeutic Window(治療の窓)」を作ることが第一選択となります 。

刺激に応じたオーダーメイド運動療法

かつては「痛くても動かせ」という指導もありましたが、現在は**「易刺激性(痛みの敏感さ)」**に基づいた分類が推奨されています

  • 高刺激期(激痛時): 強引なストレッチは禁忌です。短時間の痛くない範囲での運動を優先します 。
  • 低刺激期(固まった時期): 線維化した組織をしっかり伸ばす持続的なストレッチを行います 。

Q1. 夜、肩が痛くて目が覚めてしまいます。どうすればいいですか?

A. 激しい夜間痛は、関節内の高度な血管新生や炎症物質の増加が原因です 。最新の研究では、将来的にCGRP受容体拮抗薬などの新しい選択肢も期待されていますが、現時点では早期のステロイド注射や神経ブロックが非常に有効です 。

Q2. 五十肩になりやすい人の特徴はありますか?

A. 40〜60歳の女性に好発します 。また、糖尿病、甲状腺疾患、脂質異常症、心血管疾患などの持病がある方は、リスクが明らかに上昇することが分かっています 。

Q3. 糖尿病がありますが、五十肩の治療は受けられますか?

A. はい。むしろ糖尿病がある方こそ、積極的な管理が必要です 。当院ではHbA1cの値を考慮しながら、血糖コントロールと並行して肩の治療を行います 。

Q4. 「五十肩」だと思っていたら別の病気だった、ということはありますか?

A. あります。特に「腱板断裂」や「石灰沈着性腱板炎」は症状が似ていますが、治療法が全く異なります 。自己判断せず、必ず専門医による鑑別診断を受けてください。


五十肩はもはや、単なる老化現象ではありません。**「全身の健康状態(免疫・代謝・ホルモン)が肩に現れたサイン」**です 。


【医学的エビデンスの位置づけ】

  • 糖尿病・甲状腺疾患との関連性: ★★★★★(確実)
  • 関節内ステロイド注射の短期的有効性: ★★★★★(確実)
  • 「2年で自然治癒する」という概念: ★★☆☆☆(限定的・否定的なデータあり)
  • 全身性免疫代謝疾患としての側面: ★★★★☆(有望・2025年最新知見)

参考文献 / References

  1. Navarro-Ledesma, S. (2025). Frozen Shoulder as a Systemic Immunometabolic Disorder. Journal of Clinical Medicine, 14.
  2. Mertens, M., et al. (2021). An overview of effective and potential new conservative interventions in patients with frozen shoulder. Rheumatology International, 42.
  3. Nambi, G., et al. (2025). Efficacy of MRI and clinical findings… in frozen shoulder. PLOS One, 20.
  4. Vrotsou, K., et al. (2018). Constant–Murley Score: systematic review and standardized evaluation. Quality of Life Research, 27.
  5. Hand, C., et al. (2008). Long-term outcomes of frozen shoulder: the myth of self-limitation. J Shoulder Elbow Surg.
  6. Wong, C. K., et al. (2017). The natural history of frozen shoulder: a systematic review. Physiotherapy.
  7. 日本整形外科学会 (2022). 五十肩(肩関節周囲炎)診療指針.
  8. Kelley, M. J., et al. (2013). Shoulder Pain and Mobility Deficits: Adhesive Capsulitis. JOSPT.
  9. Challoumas, D., et al. (2020). Corticosteroid injection for frozen shoulder: a network meta-analysis. JAMA Network Open.
  10. Smith, J., et al. (2023). Molecular and genetic factors in frozen shoulder. J Shoulder Elbow Surg.

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