受験シーズンもいよいよ本番。これまで積み上げてきた努力を最大限に発揮するためには、当日の学力はもちろんですが、「試験日に万全の体調で挑むこと」が何より重要です。
しかし、受験期は精神的・身体的なストレスが非常にかかりやすく、免疫力が低下しやすい時期でもあります。「絶対に風邪をひきたくない」「もしひいてしまっても最小限で抑えたい」と願う受験生や保護者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2024年から2025年にかけて発表された最新の医学的エビデンスに基づき、当院院長の監修のもと、科学的に正しい「風邪予防の戦略」をわかりやすく解説します。
目次 | Contents
1. 「最強の風邪予防」は、サプリよりも「睡眠」
受験勉強のために睡眠時間を削ることは、医学的に見て最も避けるべき行為の一つです。 睡眠不足は、私たちが想像する以上にウイルスへの抵抗力を奪います。
- 7時間以上の睡眠を確保しましょう
複数の研究(前向きウイルス曝露実験)により、睡眠時間が7時間未満になると風邪の罹患率が3〜4倍に増加することが証明されています。 - 5時間未満は極めて危険です
睡眠時間が5時間未満になると、7時間以上眠っている人に比べて、風邪を発症するリスクは約 4.5倍 にまで跳ね上がります。 - 「睡眠の質」も重要です
途中で目が覚めるなどして睡眠効率が92%未満に下がると、発症リスクは5.5倍に達するという報告もあります。
「寝る間を惜しんで勉強する」のではなく、「しっかり寝ることも能動的な感染防御(攻めの予防)」だと捉え、1日7時間以上の睡眠を死守しましょう。

2. 食事と栄養の「新常識」:ビタミンDや亜鉛の評価が変わった?
これまで風邪予防に良いとされてきた栄養素の評価が、2024年以降の最新研究で大きく変わりつつあります。
- ビタミンCは「ひいてから」の効果に注目 残念ながら、ビタミンCに「風邪を完全に予防する」効果は認められていません。 しかし、毎日摂取(1g/日以上)しておくことで、万が一風邪をひいた際に症状の重さを平均 15% 軽減し、治るまでの期間を短くする「保険」のような効果が期待できます。
- ビタミンDと亜鉛への過度な期待は禁物 最新の大規模な分析では、ビタミンDの予防効果には疑問符がついています。 また、亜鉛サプリメントも「エビデンス不十分」とされ、逆に吐き気などの副作用が受験勉強の妨げになるリスクが指摘されています。
- 植物性たんぱく質と乳酸菌の力 強いストレス下にある学生を対象とした研究では、大豆製品などの「植物性たんぱく質」や、特定の乳酸菌(L. casei Shirota等)の摂取が、免疫力を維持し、感染症の発症を約1.8倍抑える可能性が示されています。
3. 体内時計を整える「時間栄養学」のすすめ
何を食べるかだけでなく、「いつ食べるか」も免疫に関係します。
- 規則正しい朝食を 試験期は夜型の生活になりがちですが、朝食を定時に摂ることで体内時計が整い、免疫機能が正常に保たれます。
- 夜食は控えめに 寝る直前の食事は睡眠の質を低下させ、免疫系を乱す原因になります。 就寝前の数時間は食事を控えるのが理想的です。
よくある質問(Q&A)
A. 「7時間以上の睡眠」が最も効果的です。研究では、5時間未満の睡眠は風邪の発症リスクを4.5倍に高めることがわかっています。
A. ビタミンC(1g/日以上)は、風邪の期間を短縮し、症状の重さを約15%軽減させる効果が報告されています。「風邪をひかなくなる」わけではありませんが、万が一ひいたときに早く治り、症状を軽くする助けになります。
A. 最新の2024年の報告では、予防効果は不十分とされています。 むしろ吐き気などの副作用が出る可能性があるため、試験直前の大切な時期に新しく飲み始めるのは慎重になったほうが良いでしょう。
睡眠不足は免疫力を著しく低下させます。また、夜食は体内時計を乱すため、規則正しい生活リズムを保つことが最強の感染防御策となります。
まとめ
最新の医学が教える受験生の体調管理は、特別なことではなく「基本の徹底」に集約されます。
- 睡眠防衛:7時間以上眠る(5時間未満はリスク4.5倍)。
- 食事の質:植物性たんぱく質(大豆など)や乳酸菌を意識する。
- リズム:朝食を摂り、夜食を控えて体内時計を守る。
本記事は当院院長の監修のもと、信頼性の高い情報をもとに作成しています。無理な詰め込みで体調を崩す前に、まずは生活リズムを整えることから始めてみてください。応援しています。
【監修:あおぞらクリニック 院長 医師】
【医学的エビデンスの位置づけ】
本記事でご紹介した内容は、現在の医学研究では
★★★★☆「比較的信頼性の高い情報」と位置づけられています。
特に睡眠と感染リスクの関係については、複数の厳格な研究(ウイルス曝露実験など)で裏付けられた確実性の高いものです。一方で、特定のサプリメントや食事療法の効果については、現在も研究が進められている段階のものも含まれます。すべての方に必ずしも同じ効果が出るわけではないため、体調に不安がある場合はお早めに医師にご相談ください。
※評価は研究の量と質をもとに、院長監修のもとで整理しています。
参考文献(References)
- The Role of Plant-Based Protein Functional Food in Preventing Acute Respiratory Disease. Nutrients, 13, 2021. https://doi.org/10.3390/nu13062116
- Prather, A. et al. Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold. Sleep, 38(9), 1353-9, 2015. https://doi.org/10.5665/sleep.4968
- Impact of Exams on Diet, Physical Activity, and Body Composition in University Students. Nutrients, 17, 2025. https://doi.org/10.3390/nu17111929
- Chu, G. et al. A Systematic Review of Sleep Hygiene Strategy in CKD. Kidney International Reports, 10, 2025. https://doi.org/10.1016/j.ekir.2025.06.018
- Hemilä, H. & Chalker, E. Vitamin C reduces the severity of common colds: a meta-analysis. BMC Public Health, 23, 2023. https://doi.org/10.1186/s12889-023-17229-8







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